ドイツの古い街並みでよく見かけるのが木組みの家です。その中でも美しく保存されていて、 旧市街全体が世界遺産に登録されているクヴェトリンブルク(Quedlinburg)を2003年のイースター旅行で訪れました。 同様に戦災を逃れ、"北ドイツの真珠"と呼ばれるほど美しい街並みが昔のまま残っているのがツェレ(Celle)です。 私達もこれまでに2度ここを訪れました。

旧市街に入ると木組みの家がず〜っとならぶ街並みで、歩いているだけで楽しい町です。 地上階(1階)部分には最近のお店やカフェが入っていますが、ほとんどの店で家や街の雰囲気を壊さない工夫がされていて、 例えばマクドナルドも、あの派手な赤と黄色の看板を使っていません。こういうのって大切ですよね。

木組みの家が続きます 裏通りに入ってもこの雰囲気 マクドナルドも木組みの家です

この町の木組みの家の中で有名な家が2つあります。1つはホッペナーハウス(Hoppener Haus)で、町で一番美しい家といわれています。 もう1つが、アム・ハイリゲン・クロイツ(Am Heiligen Kreuz)26番の家で、こちらは町で最も古い家で、建てられたのはなんと1526年です。 天下を取り合った信長・秀吉・家康らがまだこの世に生まれる前に建てられた家です。こうして大切に残されているのですから凄いですよね。

最も美しい家ホッペナーハウス 1532年建 最古の家はこちら 建てられたのは、なんと1526年です!!

多くの家にはドイツ語もしくはラテン語で建築年や家紋などが記されているので、それを見ながら歩くと楽しいです。 1700から1800年代に建てられた家はたくさんありますし、1600年代に建てられた家も結構あるんです。 特別なお寺や教会ではなく、普通の庶民が住む家が数百年を越えて保存されているということに、凄さと楽しさを感じられる町なのです。

ツェレの城(Schloss)は水濠と緑に囲まれて建っています。正面から見た城の姿、どことなくバランスが取れていない感じがしますよね? 城の誕生は13世紀にまでさかのぼります。そして1530年ごろにルネッサンス様式に再建されました。17世紀にはバロック様式に改築され、 城の中にもバロック様式の劇場も造られました(バロック様式の劇場としてはドイツで最古のものとされています)。 その後、原型のルネッサンス様式に戻そうとした改修工事が途中で終わってしまったため、正面から見て左側がバロック様式、 右側がルネッサンス様式と異なった様式が存在する形になってしまってます。中央の盛り上がり(塔のような部分)も建物の中央ではなく、 向かって左側に寄っているため、余計にアンバランスに見えてしまいます。 正面から城の写真を撮ったり、城をバックに記念撮影される時には、それらにつられないようにご注意ください(笑)。

正面から観たお城、美しい ツアーは中庭から始まります
中庭に面した入口にあった紋章 同じく中庭に日時計もありました

城の中を見るにはガイドツアーに参加します。まずは中庭から見学、そして代々の大公やお妃が使った様々な部屋、 その人たちの為の食事が作られた大きなキッチン、宗教改革の後に再建されたドイツで唯一現存する初期プロテスタントの宮殿教会、 そして前述のドイツ最古のバロック様式劇場を見学することが出来ます。

この様な部屋がたくさん こちらは寝室です ここはキッチン(ツアーはこんな感じ)

城から見て正面に立つ旧市街の市教会(Stadkirche)も見逃せません。 1308年に建てられたこの教会、もともとはカトリック系の教会だったのですが、後にプロテスタント系の教会となり、 内装もバロック様式に改装されています。

市教会は白が基調 教会前の噴水、子供が遊んでます

教会正面の祭壇もさることながら、対面(入口のすぐ上)にある大きくて立派なパイプオルガンも注目です。 その荘厳は様式美は正に圧巻です。このオルガンが奏でる音を聴いてみたいですね。

祭壇横の装飾 祭壇はこちら パイプオルガン、立派です

この教会の塔に登れば、オレンジ色の屋根が続く木組みの町をみることが出来ますし、先程の城を正面上から眺めることが出来ます。 どちらもそのまま絵葉書に出来そうなくらい、素晴らしい眺めです。

塔の上からみた城です 赤い屋根が続く木組みの町 ずっと大切に保存されて欲しい眺めです

ツェレの旧市街は歩いても半日で周れてしまう程の小さな町です。 城を見学して、教会の塔に登り、後はのんびり木組みの家々を一軒一軒みながらゆっくり散歩する、そういう町です。 それだけなんですが、それが実に楽しい、それがツェレなんです。

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