ドイツ在住の方やドイツに詳しい方はご存知でも、一般の日本の人にはあまり知られてないかもしれません。 そういう自分も恥ずかしながらドイツに来るまで知りませんでした。

ドイツには、フランクフルトが2つあるんです。

1つは旧西ドイツ側にあり商業・金融の中心地として世界的に有名な町で、 正式な名前をフランクフルト・アム・マイン(Frankfurt am Main = マイン河畔にあるフランクフルト)と言います。 通常単にフランクフルトと言った場合は、ほぼ確実にこの町を指しているはずで、日本との間の直行便があるのもここです。

そしてもう1つは、旧東ドイツ側にあるポーランドとの国境に面する町で、こちらはフランクフルト・オーデル(Frankfurt/Oder)と呼ばれます。 このオーデルとは国境線になっているオーデル川のことを指しています (Frankfurt an der Oder = オーデル河畔にあるフランクフルト と書かれることもあります)。 今回、このフランクフルト・オーデルに行ってきました。

ベルリンのヴァンゼー(Wannsee)駅から地域特急(Regional Express)に乗って出発、おにぎりを食べながら流れる車窓を楽しみつつ、 ゆられること約1時間30分で到着です。ちなみに地域特急はその名の通り各駅停車ではない(駅を飛ばし飛ばし停まる)特急なのですが、 ICEなどとは異なり特急料金は必要なく通常の普通運賃だけで乗車出来ます(但し1等車利用には別途料金が必要)。ちょっとした遠出に便利な電車です。

括弧付きの"O"がオーデルの証 これが地域特急です、便利です こういう旅には、おにぎりでしょ(笑)

フランクフルト・オーデル駅に到着、そしてちょっとビックリです。というのも、有名なのは西のフランクフルト、 こちらは旧東欧しかも国境に近い田舎町だから...なんて勝手に考えていたわけですが、駅舎は立派で綺麗な建物です。 駅前のバスターミナルを見ても結構路線が多そうですし、トラムも走ってます。 う〜む、家の近所の駅より立派です、はい(笑)。

地下コンコースも綺麗 駅舎は新しいけど雰囲気があります トラムも走ってます

駅から数分歩けば大通りに出てます。現代的デザインのショッピングセンターもあり、高いビルもありと、 典型的な田舎町という想像は大間違いでした(笑)。

ちょっと不思議な(笑) う〜む、分かる人には分かるのでしょう こんな高いビルもありました

町にある教会、聖マリエン教会(St. Marienkirche)に行ってみました。 教会の建物はかなり大きく、これは凄いかもと正面の入口に行って見ると、違う意味で凄いんです。 そう、ぼろぼろなんですよ。これはどういうこと!? と思いつつ中に入ってみると、なんと中もぼろぼろなんです。

大きい教会です こちらが入口 木造で修復されたままの姿の屋根 組まれている足場

そうなんです。第二次世界大戦で破壊されてしまった教会なのです。屋根は木造で修復されていますが、 教会内部にはまだまだたくさん足場が組まれた状態です。教会内には19世紀の教会の姿、戦争で破壊された時の姿、 そして破壊される前にはあったステンドグラスの説明などが展示されていました。

破壊された当時の写真 ステンドグラスの説明 教会の鐘のようです

教会を出た後は国境線のオーデル川へ行き、川沿いを北へ歩きます。向かうはポーランドへ渡る橋です。 橋は比較的新しく車も人もたくさん往来している様子がみえます。 私たちもこの橋を使って歩いてポーランドへ入国してみます。これも今回の旅の目的のひとつで、 ちゃんとパスポートも持って行きました。

これがオーデル川、そして向こうに橋 歩いて行き来する人の姿が見えます

ドイツ側に入出国チェックの検問所があり、そこで係官にパスポートを見せます。 昨年車で入国したときは、時間はかかったけどスタンプを押してもらえなくて残念だったのですが、 今回は特に時間がかかることなくスムーズに終わり、さらに嬉しいことに入国スタンプを押してもらうことが出来ました。 これは良い記念になりました。

検問所、ドイツ側の袂にあります さぁ、いざ歩いてポーランドへ!! ついにポーランドに到着!! (大袈裟な...)

ポーランド側の町に入ってみると、これまた想像していた以上の現代的なものでした。 前回入った国境沿いの場所には、 大きいけれどあまり綺麗でないショッピングセンターとガソリンスタンドしかなかったので、 このような普通の現代的なのは想像していなかっただけにちょっとした驚きです。 もちろん町ごとに差があると思いますが、ポーランドもEUに加盟して既に約1年、 これからどんどん近代化を目指して整備されていくのでしょう。

ドイツの町との差が無い光景です こんなお洒落なバー&カフェの店も 本当に普通の町なんですね

通りを歩いていると大きなクレーン車がいて、通り沿いの家のベランダを着けているのか外しているのか、 大きな音を立てて作業をしていました。時折、部品だかコンクリートだかが音を立てて落ちてくるけど、 工事の人も通行人もあまり気にしていないようで、こういう工事風景は日本では考えられないですね。 同じ建物に住んでいるとおぼしきお婆さんが、窓から顔を出して心配そうに作業をじっと観察してました(笑)。

クレーンで作業中 ベランダを吊り上げてます 心配そうに見つめ続けるお婆さん

街中を少しあるいてみましたが、はやり物価の差や税金の違いを利用してタバコやお酒を売る店が多かったです。 私たちはタバコやお酒を買うつもりは無く、他の品物をいろいろ見て歩きまわり、 ある小さなお店でカゴを2つ買いました。ポーランドの通貨(ズウォティ)は持っていませんが、 国境の町ということもありユーロで買い物が出来ました。ちなみにこのカゴ2つで、5.65ユーロでした。

カゴを買ったお店 丸くて小さめ、直径15cm 細長いゴンドラ型(?)、長さ25cm

予定ではポーランドで昼食を食べようと思っていたのですが、なかなか良さそうなレストランが見つからず、 やっと一軒見つけたものの満席で入れず、ということで昼食はあきらめ、川沿いの道を散歩することにしました。 ドイツではオーデル(Oder)川と呼ばれていますが、ポーランドでの名前はオドラ(Odra)川です。

川沿いの道を散歩しました 向こう岸はフランクフルト・オーデル

橋を渡ってフランクフルト・オーデルにもどり、川沿いのカフェで遅めの昼食です。 まだちょっと肌寒い季節でしたが、テラス席で川を見ながらお茶をしたり食事をするのは気分が良いものです。 このお店で出てきたカフェのカップは愛嬌があって面白かったんです。うちの奥さんはすっかり気に入って、 携帯のデジカメで写真を撮り、待ち受け画面にしてます(笑)。

川沿いにある落ち着いた雰囲気のお店 ボリューム満点のシュニッツェル 愛嬌があって面白い表情ですよね(笑)

この後、ベルリンへ帰る電車に乗るために駅に戻りました。なんとここで一苦労。

この駅の切符の自動販売機がベルリンにあるのと違うタイプで、 遠距離切符の買い方がいくらやっても理解出来ず、随分頑張ったんですがついに諦めて窓口で切符を購入、 ホームへ走るも乗るつもりだった電車を寸での差で逃し(ホームにはいたけどもう乗れずに発車!!)、30分後の次の電車を待つ羽目になりました。 悔しくて次の電車を待つ間、再度切符の自動販売機と格闘したんですが、どうやっても遠距離切符が買えないんですよ。 出発駅と到着駅は入力出来て乗る電車の時刻表がご丁寧に印刷されて出てくるのに、肝心の切符が買えないんです(笑)。 手こずっているのは私たちだけでは無い様子、もしかして、遠距離の切符はもともと自動販売機では買えないの...?

ま、"切符が買えないぞ事件"は別にして(笑)、有名で無い方のフランクフルトに大きな期待を持たずに行ったんですが、予想外に楽しめました。 樹木が緑になり桜の花が咲く頃には、国境を越えて川沿いを散歩するだけでも楽しそうです。

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