今年の夏はウィーンとザルツブルクに旅行に行ってきました。 ちょっと遅くなってしまいましたが、2回に分けてお伝えします。


 〜 第0日目 〜

まずはウィーンへ。今回は金曜日の夜の飛行機でウィーンへ入る計画です。 これは、いわゆる格安航空会社のチケットというやつでして、実際私達が取ったチケットも2名分で138ユーロ(税金その他全て込)でした。 空港はテンペルホフ空港(Flughafen Tempelhof)です。この空港は今年の秋に閉鎖されることが決まっているので、ここを使う機会もこれが最後、見納めになりそうです。

空港の正面、簡素です 空港ロビー、これが見納めです

飛行機の離陸時刻は20時40分、19時50分にチェックインカウンターへ行きました。離陸の50分前にチェックイン!? なんて日本での国際線搭乗では考えられないと思いますが、 こちらではEU内の便の場合はこれで充分、むしろ早い方ですね。チケットは"e-チケット"と呼ばれるいわゆる電子チケットで、 事前に紙のチケットは貰いません。その航空会社のマイレージカードを持っていればカウンターに行かなくても機械でチェックイン出来ます。 私達の場合はこの航空会社のマイレージカードを持っていませんが、カウンターにて名前を身分証明書を提示すればOK、簡単です。

で、チェックインカウンターでe-チケットで購入したことと名前を告げると、カウンターの人がちょっと固い笑顔を見せながら「まずは私からの説明をさせて下さい」と。 な〜んかいやな予感がしたんです。そして的中。なんと飛行機が遅れて離陸が23時30分だというのです。 さらに、大幅に遅れるためこの空港ではなくて別の空港、シェーネフェルト空港(Flughafen Schoenefeld)からになり、20時30分に乗客をそこまで送るバスが出ますと!! いや〜、まいりました。23時30分ってことはまだ3時以上あるわけで、そして23時30分じゃウィーンに着陸するのは0時45分じゃないかぁ。なんてこったい。

なんと偶然にも、同じくベルリンに住んでいる知り合いのご一家とチェックインカウンターでバッタリ遭いました お互いに参りましたねぇと言いつつ、とりあえず20時30分に出るというバスを待つことにしました。

このバスがシェーネフェルト空港へ バスの中はこんな感じ これがシェーネフェルト空港

バスに乗ってシェーネフェルト空港へ向かいます。3つあるベルリンの空港でこれまで一度使ったことがなかった空港です。 最終的には大幅な拡張工事の後にここだけが残されることになっています。正直、旧東ということもあり期待してなかったのですが、 行ってみると以外に建物は綺麗でした。

とはいえ、搭乗までもまだまだ時間があります。航空会社がお詫びの意味でくれた食事券(1人10ユーロ)をもらったので、唯一開いていた小さなお店へ行きました。 いや〜、知り合いとご家族とばったり遭えて良かったです。おかげで長い待ち時間を楽しく過すことが出来ました。

やっと飛行機にのってウィーンの空港についた時はもう1時過ぎ。日本の旅行ガイドには4月から10月は深夜でも空港からウィーン市内へのシャトルバスが出ていると 書いてあるのですが、行ってみると運行されてませんでした。しょうがないのでタクシーでホテルまで行きました(ちなみにタクシー代は32ユーロ)。 ホテルにチェックインして部屋に付いたのが1時30分、なんともすごい出だしとなりました。


 〜 第1日目 〜

さて、やっと観光の第1日目。実は泊まったホテルは建物は立派で立地も良く部屋も広いのですが、エアコンがなかったのです。 こちらは日本の様な暑さにはなりませんが、それでも前日は夏らしい気温で比較的暑かったのに加え、 私達の部屋の窓は内側(ホテルの建物はロの字型)だけなので夜になっても風が抜けずに暑いまま。 さらにさらに、窓を開けているとファンやらレストランの室外機などの音がうるさいのなんの!! ホテルに着くのが遅くなった上に暑いはうるさいはで、なかなか寝付けずに完全な寝不足です。

それでもせっかくの旅行、初めてのウィーンということで、さっさとホテルでの朝食をすませ、観光に出かけました。

まずは国立オペラ座(Staatsoper)へ行きました。内部見学をするにはガイドツアーに参加するのですが、日本語のガイドツアーは午後1時からなのです。 でも確実にツアーに参加出来るように朝のうちによって券を購入しておきました。

そこからゲーテ像の前を通りブルク公園(Bruggarten)を歩きます。ここにはモーツアルト像があるんです。

ゲーテ像は通りに面して モーツァルト像は公園の中です

ブルク公園を抜けて大きな通りを渡ると、そこが美術史博物館(Kunsthistorisches Museum)です。 ウィーンの美術史博物館、パリのルーブル、マドリッドのプラドを世界三大美術館と呼ぶのだそうで(初めて知りました)、 その規模と言い所蔵品と言い素晴らしい美術館で、これは時間をかけてじっくりと見なくては。

美術史博物館、大きいです 2階へ上がる階段も立派です 座ってゆっくり鑑賞することも出来ます

ブリューゲルのコレクションは世界最多だそうで、あの有名な『バベルの塔』もここにありました。 他にもラファエロ、ルーベンス、デューラーなどなど名画がたくさんあるのです。 そして、この美術館にもフェルメールの作品が1つ所蔵されているのです。当然それも見なくては...あれ!?

デューラー ラファエロ ルーベンス フェルメール...は、あれ!?

なんと、フェルメール『絵画芸術』は貸し出し中でした。そしてよりによって行っている先は、東京と神戸なんだそうで。 そんなぁ、せっかくウィーンに来たのに。東京と神戸の皆さんは、はるばるウィーンから来たフェルメールの絵、ちゃんとご覧になりました?(笑)

美術鑑賞を終えたので、新王宮(Neue Burg)と王宮(Hofburg)へ向かいました。

こちらは新王宮の建物 王宮を走る馬車、絵になります

王宮はハプスブルク家が650年間も住居としただけあって、増改築が行われて内部は非常に広いのだそうです。 新王宮の建物の方は現在博物館になっています。今回は中は見学せず、庭と建物を見ながらミヒャエル広場に抜けました。 広場に面して建つ教会がミヒャエル教会(Michaelkirche)です。

王宮の北側正面にあります 石造に囲まれた立派な祭壇

この教会は13世紀に建設が開始され、その後の火災や地震の被害を受けながら18世紀まで何度も修復や増改築が続けられたため、 部分部分によって建築様式が異なっているのが特徴なんだそうです。中央の祭壇は左右の石像で囲まれた荘厳で素晴らしいものでした。

次はスペイン乗馬学校(Spanische Reitschule)の前を通って南に戻り、アウグスティーナー教会(Augustinerkirche)へ行きました。 14世紀に建てられたゴシック様式の教会で、多くの王家の人々の婚儀がここで行われました。

細長く外見は普通 ゴシック風の教会 地下を見ているのは心臓があるから

そして何よりもこの教会が有名なのは、教会の地下にハプスブルク家の人々の心臓が安置されていることです。 この教会の200mほど東にカプツィーナー教会 皇帝納骨所(Kapzinerkirche Kaisergruft)というのがあるのですが、 ハプスブルク家の慣習により埋葬はカプツィーナー教会、心臓はアウグスティーナー教会、心臓以外の内臓がシュテファン寺院に安置されているのです。 ばらばらに安置するなんてすごい慣習ですよね。

さて次は、午前中にチケットを購入しておいた国立オペラ座(Staatsoper)です。 そう、ウィーンは音楽の都であり、そのウィーンを象徴する歌劇場が国立オペラ座なのです。 7月・8月はシーズンオフなのでガイドツアーで舞台裏まで見学することが出来ました。 オペラを観に行かれたことがある方ならご存知だと思いますが、オペラの舞台は実は凄く広いのです。 この国立オペラ座の舞台の奥行きはなんと25mもあり、実際に見てその大きさに驚きました。 さらに1階の通常は観客席になっている部分から舞台および舞台裏までを1つながりにした全長75mの大きなステージが出来るようになっています。 そう、世界の名だたる数々のウィーン舞踏会の、その頂点に立つオペラ座舞踏会はここで行われるのであります。

これがウィーン国立オペラ座です これぞ音楽の都にあるオペラ座 19世紀のオリジナルが残っている部分

1869年に完成したオペラ座のこけら落しはモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』でした。 こんな素晴らしい歌劇場で観る『ドン・ジョヴァンニ』はさぞかし素晴らしかったと思いますし、 モーツァルトがウィーンに棲んでいた時に作られたオペラですから、こけら落しにこれ以上の作品はなかったと思います。 その後、第二次世界大戦で戦災にあいますが、再建されたのが現在の姿です。 ただし、当初のものをそのまま再建することは出来なかったので(主に資金の問題)、細かい装飾などが全ては再現されなかったということです。

遅めの昼食をとった後、ケルントナー通り(Kaerntner Str.)からグラーベン(Graben)を歩きました。 グラーベンにはペスト記念柱(Pestsaeule)があります。17世紀にヨーロッパ中を蔓延したペストにウィーンも襲われ、なんと約10万人の人が亡くなりました。 そのペストの終結を神に感謝して皇帝が建てたのがこの記念柱です。

観光客で賑わうグラーベン 三位一体記念柱とも言います

グラーベンを歩いていたところ、建物の間から挟まれるようにして姿を見せる教会がありました。 地図で確認すると、名前はペーター教会(Peterskirche)でした。せっかくだからと中に入ってみてビックり、バロック様式の見事な教会でした。

グラーベンから見た姿 バロック様式の見事な教会 丸天井の天井がも素晴らしい

実はペーター教会、建てられた正確な年やその由来などが全く分かっていないのですが、ウィーンで2番目に古い教会と考えれられているそうです (ウィーンで最も古い教会といわれるのはルプレヒト教会です)。 日本の旅行ガイドには地図上に記載されているだけで特に解説も案内も載っていない教会ですが、 内装や並んだ像、そして天井画が素晴らしい教会ですので、グラーベンを歩いてきたら是非寄ってみて下さい。

さて、最後はシュテファン寺院(Stephansdom)ということで行ったのですが、この日は夜にミサがあるということで奥まで入っていくことが出来ず、 明日再度訪れるとにして、夕食を食べに行きました。お店はグーテンベルク(Gutenberg)というレストランです。 ウィーンに来たからにはヴィーナーシュニッツェルを食べなくてはとこれは決まり、ただ後は昼食が遅めだったこともあり、 肉や魚ではなくてマッシュルームのフライにしてみました。でも出てきたら皿にいっぱいのマッシュルーム、これは多くて失敗だったかと。

大満足のレストランでした ヴィーナーシュニッツェルは必須 新発見、マッシュルームのフライ!!

ところがどっこい、食べてみてビックリする程これが超美味!! 考えてみればマッシュルームのフライなんて食べたことなかったけど、 外側がさくさく、中は熱々のマッシュルーム、どんどんすすんできれいに完食しました。 これ、本当に美味しいんですよ。是非ご家庭でも試していただきたいです。 唐揚げ粉なんかであげても美味しいかもしれません。とにかく、マッシュルームのフライがこんなに美味しいなんて大発見、このレストランに大満足でした。

さて、ウィーンに行ったのにザッハートルテを食べて無いの!? と思われ方がいらっしゃるかも知れません。 とんでもない、ちゃ〜んと食べてきました(笑)。夕方の休憩にお茶をしたときにデメルへ、夕食後のデザートにザッハーへ行きました。

デメルのザッハートルテ ザッハーのザッハートルテ

2つのザッハートルテ、発祥はザッハーのお店からです。19世紀に創業したこの2つのお店、1930年代に店が傾いたザッハーを助けることの交換条件として デメルでもザッハートルテを作り始めたのが2つのザッハートルテが誕生した発端で、その後は1950年代にはどちらがオリジナルと名乗れるかをを争う裁判まで勃発、 結審まで10年もかかったということですから凄まじいです(結局、ザッハーがオリジナルを名乗っています)。 そういえばドイツのザルツヴェーデルというバームクーヘンの町でもバームクーヘンの直系を争う歴史がありました。 長い伝統に裏付けられたお菓子、その舞台裏は決して甘くないようです。

あ、肝心のお味の方はと言いますと、どちらも甘いザッハートルテ、ザッハーのには中に杏のママレードが入っていているのでデメルのより甘さが強かったですが、 いずれにせよ両方とも大変おいしゅうございました。食する側にとっては、2種類の美味しいトルテが味わえる、それで結構でございます(笑)。


 〜 第2日目 〜

2日目最初のはトラムに乗ってまず移動、最初の観光場所はオーストリア・ギャラリー(Oestrreichische Galerie)です。 ベルヴェデーレ宮殿(Schloss Belvedere)の上宮(Oberes Belvedere)がこの美術館になっているため、建物も庭も美しいです。 この美術館の目玉は、なんといってもクリムト『接吻』です。館内は撮影禁止だったのでお見せできませんが、 しかと実物を鑑賞してきました。

ウィーンを走るトラム ベルヴェデーレ宮殿 上宮 ベルヴェデーレ宮殿 下宮

下宮(Unteres Belvedere)の方は中世とバロック美術館(Museummittelalterlicher Kunst und Barockmuseum)になっています。 たくさんのバロック作品が展示されていましたが、個人的にはやっぱり上宮の方が断然見ごたえがありました。

トラムで戻って次は市庁舎です。市庁舎の特徴は何といっても高い高い塔です。 当時、教会でも無いのに100mを越える塔を造るのはけしかららん、という抗議があり、市庁舎の設計者は塔自体は98mの高さに抑えておいて、 その上に3.4mの市庁舎の男(Rathausmann)という像をのせて、さらに手には6mの旗を持たせて全体で107mの高さにしたという逸話があるそうです。 この日は市庁舎の前で何かのイベントが行われてました。クリスマスの時期にはここにクリスマスマルクトが立つということでした。

高い塔が目印の市庁舎 ツェントラルの外観 高い天井と大理石、すごいです!!

昼食と一休みをかねて行ったお店はツェントラルです。建物の外見も立派ですが、店内は高い天井に大理石という贅沢な造りです。 それもそのはず、このお見せはパレ・フェルステル(Palais Ferstel)という宮殿の一部なんです。贅沢な気分に浸りながら昼食を食べました。

エネルギーを補給したので観光再開です。次は前日に観ることが出来なかったシュテファン寺院(Stephansdom)です。 65年がかりで完成した高さ137mの塔が特徴です。第二次世界大戦で被害を受けた後に再建されました。 中に入ると長さ107mの身廊がありその一番奥に美しいバロックの祭壇があります。また有名なのが石造りの説教段で、 台座の部分に作者であるアントン・ビルグラムがのぞき窓から身を乗り出している姿で自身を残しています。

ウィーンの象徴と言われます 長い身廊の奥に祭壇 ピグラムの姿、わかります?

この寺院の地下には、ハプスブルク家の人々の心臓以外の臓器と、ペストで無くなった人々の約2000体の遺骨が保管されています。 寺院の北の塔はエレベーターで、南の塔は343段の階段を使って上までの登ることが出来ますが、今回は塔登りはやめておきました(笑)。

国立オペラ座の時に書きましたが、モーツァルトはウィーンに住んでいた時に『フィガロの結婚』を創りました。 彼が1784〜87年まで住んでいた家がフィガロハウス(Figarohaus)です。 映画『アマデウス』を観た方は彼が譜面を書いている場面思い出されるのではないでしょうか。

ちょっと寂れた雰囲気 2階の入口はこんな感じ 広くない普通の家でした

ただし実際の家は映画のようなしゃれた感じではなくて、天井も低く普通の家でした。 現在はモーツァルト記念館としていろいろと展示されていますが、展示内容はザルツブルクの方が充実してます。 でも、モーツァルト好きであれば、彼が生き生きと創作活動していた場所として、訪れてみるだけで良い思い出になります。 場所はシュテファン寺院から東側の裏手で、ちょっと寂れた雰囲気の中にあるので、地図で確認しながら出ないと見落としてしまうかもしれません。

さて、ウィーンを訪れたら見ておかなければいけないもの、それがシュテファン寺院とシェーンブルン宮殿(Schloss Schoenbrunn)だそうで、 それじゃ見逃せません。

ヒーツィンク門(Hietzing Tor)から入って一旦南に歩き、そこからネプチューンの泉(Neptunbrunnen)へ向かいます。 このルートを使うと庭園の中を散歩しながら宮殿に向かうことが出来るんです。 ネプチューンの泉の水しぶきの向こうに宮殿が見えるのなんて、絶好の記念撮影ポイントですよ(笑)。

ネプチューンの泉、向こうに宮殿 シェーンブルン宮殿、大きいです 遠くの高台にあるのがグロリエッテ

ハプスブルク家の夏の離宮であった宮殿の外壁は品の良い黄色です。これはマリア・テレジアが好きだった色で、 テレジアンイエローと呼ばれているそうです。あのマリー・アントワネットもフランスに嫁ぐまで夏はここで過したそうです。 また、モーツァルトが6歳時に初めて御前演奏をしたのも、これまた映画『アマデウス』にも出てきますが、 その時に幼いモーツァルトがマリー・アントワネットに結婚を申し込んだエピソードも、この宮殿でのことでなのです。 宮殿の中はガイドツアーで見ることが出来ます。もちろん、御前演奏が行われた部屋も見られます。

夕方になったので、市立公園(Stadtpark)でちょっと休憩です。街の中というよりは山奥の森林公園かと思うくらい緑が多く気持ちの良いところです。 公園内にはシューベルトをはじめとするたくさんの音楽家達の像があります。 その中で有名で目立っているのが、金色に輝くヨハン・シュトラウス像でしょう。これまた絶好の記念撮影ポイントですね(笑)

池もあり気持ちの良い公園 大きな花時計もありました ヨハン・シュトラウス像、目立ってます

ということで、これにて2日間のウィーン観光が終了、このあと夕食を食べてからホテルに戻りました。 次の日は列車に乗って、ザルツブルクに移動します。

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