2月5日から15日まで、第54回ベルリン国際映画祭(Internationalen Filmfestspiele Berlin)が開催されました。 ベルリン国際映画祭は1951年から西ベルリン(まだ東西に分断されていた時代)に始まり、 1955年に国際映画製作者連盟(FIAPF: Federation Internationale des Associations de Production de Films)に公式に認めらた映画祭りとなりました。 ご存知の通り今は、カンヌ国際映画祭・ベネチア国際映画祭・ベルリン国際映画祭が世界3大映画祭と呼ばれてます。 ちなみに、ベルリン国際映画祭をこちらではベルリナーレ(Berinale)と呼びます。こう呼べる人はちょっと通っぽいかも(笑)。

ベルリナーレが始まると、ポツダム広場周辺はもうこれ一色になります。ソニーセンターの中にもトレードマークのクマが現れますし、 チケット売場が設置されるショッピングセンターのアルカーデン(Arkaden)も同じく映画祭ムードに包まれます。

昨年は観に行く機会が無かったので、今年は行くぞ〜と気合が入っていたのですが、なんと今年はコンペティション部門への日本映画のノミネートが無し!! あれまぁ、残念...。でも、他の部門では日本映画が上映されるということだったので、観に行くことにしました。

ソニーセンターに現れたクマ アルカーデンの天井に並ぶ旗 チケット売場はいつも行列 日本映画2本のチケットを購入

チケット売場はいつ見ても行列が出来ているんです。さすが世界3大映画祭です。 チケットの購入はこのチケットセンターで直接買うか、インターネットで購入して引き換えにくるか、2通りの方法があります。 私達はインターネットでチケットを購入しておいたので、後は購入番号と身分証明書を持っていけばチケットを手渡してもらえます。 チケット手渡し窓口の行列は5名程度の短いものでしたので、すぐにチケットを手にすることが出来ました。 私達が今回購入したチケットは、以下の2つの作品です。

きょうのできごと 監督:行定勲
出演:田中麗奈、妻夫木聡、伊藤歩、柏原収史、三浦誠己、石野敦士、他
バーバー吉野 監督/脚本:荻上直子
出演:もたいまさこ、米田良、大川翔太、村松諒、宮尾真之介、石田法嗣、他

まずは1本目、『きょうのできごと』をこの日に観に行きました。日本では既に公開済みのようですから、 ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。私達にとってはベルリンに来てから初めて観る映画館での日本映画、それも手伝ってか素直に楽しめました。 淡々としたテンポもよかったですね。銃の撃ち合いや爆発、流血などの場面が無いことも良かったと思います(最近はそういうのが多過ぎませんか?)。 会場の観客も場面場面で結構笑ってましたし、上映後には拍手している人も結構いました。

『きょうのできごと』はここで上映 映画館の中はこんな感じ

一週間後の週末、2本目の『バーバー吉野』を観に行きました。映画館に入っていくと、一人のお婆さんがドイツ語で話しかけて来ました。 日本映画を観にきたの? と尋ねているようだったので、そうですよと答えると、どうやらチケットを譲ってくれないかと言っているのです。 さすがにそれは出来ないので、お断りしました。この日本映画を観たかったのに、チケットが取れなかったようです。 私達は発売開始日にインターネットで購入することが出来ました。 でも、インターネットを使うことが出来ない(難しい)人たちにとっては、物理的にチケット売り場に行くしかないわけです。 このお婆さんがどのように購入しようとしたのか、何処の地方から来きた人なのかは分かりませんが、ちょっと複雑な思いがしました。

さて、会場に行って初めて知ったのですが、児童映画部門に出品されている作品でした。なので親子ずれがたくさん!! 私達もその列にならんで開場と同時に入っていき、観易い席に座りました(自由席なので早いもの勝ち)。上映開始時刻が近づくにつれて席も埋まり、 やはり満席になりました。と、周りを見回していると、会場の後ろのほうにデスクライトが点いた小さな机、そしてそこにはマイクもセットされてます。 なんか嫌な予感がするなぁ...。

ここで幕前に司会らしき人が現れて挨拶が始まりました。そして、なんと会場にはこの映画の監督/脚本の荻上直子さんも来てたのです。 紹介があって軽く会釈、観客から拍手があがったところで早速上映開始です。

で、始まってみて、やっぱりそうでした。日本映画ですからセリフは全部日本語です。国際的な映画祭ですので英語の字幕がついてます。 でも、でもです。ドイツのお子様達に英語字幕で映画を観ろというの無理なんですね。はい、そうなんです。 例の机にはドイツ語訳係の女性が座っております。そして日本語のセリフに被せてドイツ語に翻訳されたセリフをマイクを使って読み上げます。 映画の中の音声とドイツ語訳の声と、どちらが大きいかはもうお分かりですね。そりゃそうです、だってお子様達のためにやってるんですから(笑)。 しかし、私達にとっては非常にマイッた状況です。普通の声のセリフであればオリジナルの日本語セリフを聞き取れますが、 場面によって出てくるひそひそ声のセリフは被っているドイツ語音声の完全勝利で、まったく日本語が聞こえてこないんです(笑)。

『バーバー吉野』の上映会場 子供達の質問に答える荻上直子さん

そんな困難はあったものの(笑)、非常に楽しく面白い作品でした。もたいまさこさんの演技も素晴らしかったですし、子供達の演技も良かったです。 また自分の子供時代の事を思い出させるような場面も時々あり、そこも面白かったです。 会場の観客も上映中に笑ったり感心したりで凄く楽しんでいることが分かりました。 映画が終わったところで会場からは割れんばかりの大きな拍手が起こり、そして荻上さんが前に出て、ドイツの子供達からの質問に答えてました。 子供達が繰り出す質問にも会場からは笑い声が何度も起きてました(質問は当然ドイツ語なんで全然分からずでしたが。荻上さんの返答は英語で、それを司会者がドイツ語に訳します)。

この『バーバー吉野』は、児童映画部門のブランプリは逃しましたが、見事にスペシャルメンション(特別賞賛作品)に選ばれました。 おめでとうございました!!

あと、私達は観に行かなかったのですが、日本で人気の『オー! マイキー』、英語の吹き替えにした日本未公開の3本を集めて上映されたところ、 これがなんとバカウケだったそうです!! 凄いですね。そしたらいっそのこと『オー! マイキー』をコンペティション部門にノミネートしちゃえば良かったのに(笑)

ベルリナーレは1999年までツォー(Zoologischer Garten)駅のすぐ側にあるツォーパラスト(Zoo-Palast)がメイン会場でしたが、 2000年からはポツダム広場にあるステラ・ミュージカル劇場(Stella Musical Theater)がメイン会場になっています。

今年はメイン会場の方に行く機会が無かったので昨年の写真ですが(汗)、こんな感じです。 あと、公式スポンサーのフォルクスワーゲン(Volkswagen)社のフェートン(Phaeton)の黒塗りタイプに真っ赤なベルリナーレのマークが付いた車が会場の周辺で良く見かけます。 こちらも昨年の写真ですが(再汗)。あと、テレビ局・ラジオ局の中継車も周辺でたくさん見かけます。これは今年の写真です(笑)。

こちらがメイン会場 ベルリナーレマーク付のVWフェートン FMラジオの中継車

フォルクスワーゲンは、こちらでは略してファーヴェー(VWのドイツ語読み)と呼ぶことが多いですね。それからこのフェートンという車種は日本では未発売ですが、 メルセデスのSクラス、BMWの7シリーズに対抗するVWのフラッグシップモデルです。ボディサイズはメルセデスSクラスより大きく、 エンジンも6000cc V型12気筒が頂点に用意されています。外観では丸いデザインのリアブレーキランプが目を引きます。実際ベルリンでもよく見かけるんですよ。 ちなみに、フォルクスワーゲン(Volkswagen)とは「国民車」を意味していて、今でもポロやゴルフ、大きくてもパサートレベルというイメージが強いですが、 今やフルラインナップになっています。そして、"VW印"じゃなくて"VWグループ"では、その傘下にベントレー、ブガッティ、ランボルギーニ、アウディなども持っているんですね。 最近日本でも発表になった最新型Golf V(ファイブ)もプラットフォームはアウディA3と共通なのです。

あ、最後はベルリナーレとは関係ない話題になってしまいました。ドイツは世界に冠たる自動車王国ですから、これもドイツネタということで(笑)。

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